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99年前の1904年9月26日,小泉八雲(パトリック・ラフカディオ・ハーン)が亡くなりました。
小泉八雲の「心 日本の内面生活の暗示と影響」(岩波文庫)の中に『ある保守主義者』という作品が収められています。
この作品の最後のところで,太平洋を渡ってきた船が日本に近づいてきて,乗客の外国人たちが富士山を見ようと待っているくだりがあります。
外国人たちは,えんえんと連なる山なみを眺めていますが,富士山は見えません。
外国人たちが船員にたずねると,船員は笑いながら答えました。
『ああ,あなたがたは,目のつけどころが,低すぎるんですよ。
もっと上を見てごらんなさい。
もっと高いところを。』
外国人たちが,空の真ん中まで目を上げると,曙の中に大きな山頂がはっきり見えました。その壮麗な姿に,外国人たちは,しばらくのあいだ息をのんでいました。
小泉八雲の言葉は,まるで自分自身のものの見方を見抜かれたように心に突き刺さります。
『ああ,あなたがたは,目のつけどころが低い。
もっと上を見よ。
もっと高いところを。』
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