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私は司法試験を11回受験しました。
1993年,司法浪人の生活が12年目をむかえていました。
5月に短答式試験,7月に論文式試験,9月に口述式試験を受けて,10月29日が最終合格の発表でした。
試験の結果に手応えを感じていたので,東京の法務省まで合格発表を見に行くことにしました。
発表の前日は,なんとなく落ち着かなくて,夜11時を過ぎてもテレビを観ていました。
テレビはサッカーの試合を生中継していました。
FIFAワールドカップ・アメリカ大会のアジア地区最終予選,日本対イラク,場所はカタールのドーハでした。
日本はそれまで何度もワールドカップに挑戦するもののどうしても予選を突破できませんでした。
しかし,最終戦でイラクに勝てば,史上はじめてワールドカップに出場できるところまでこぎつけていました。
私は,熱心なサッカーファンではありませんが,やはり画面にくぎ付けになっていました。
試合は,2-1で日本がリードして89分をむかえていました。
これは勝てる,ワールドカップ出場や,と胸が高鳴りました。
試合終了直前でした。
イラクの選手がセンタリング
ふわりとあがったボール
ヘディング
ゴール!
2-2の同点。
日本の選手はフィールドにへたり込みました。
控えの選手は,顔を両手で覆って,ベンチから崩れ落ちました。
引き分けでは予選を突破できません。
目の前まで来ていたワールドカップ初出場の夢はかないませんでした。
私は,なんとも言えない気持ちで,テレビを消しました。
翌日,気を取り直して,合格発表を見るために,自宅を出て駅まで歩きました。
歩いている私を自転車が追い越していきました。
お母さんが自転車を運転して,小さなお子さんが後ろに座っていました。
自転車が私を追い越したあと,子どもの靴が片方ぬげてしまいました。
私は,すぐに靴を拾って,大きな声でそのお母さんに呼びかけました。
「おちましたよ!」
私が,合格発表を見るために自宅を出て,最初に口にした言葉でした。
というわけで,このとき合格したのでこんな文章を書いているわけです。
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