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七人の侍 その1 ☆ あさもりのりひこ No.64

 今から60年前の1954年4月26日,1本の映画が公開されました。

 その映画は「七人の侍」,監督は黒澤明。

 

 農民(映画では「百姓」)が野武士から村を守るために侍を雇う,というストーリーが斬新でした。

 3時間27分の長編ですが,前半は侍を七人集めるところを描いて,後半は野武士との死闘を描いています。

 

 脚本を書いたのは黒澤明,橋本忍,小國英雄。

 

 最初の脚本では侍の数は六人でした。

 三船敏郎は「久蔵」という剣の達人を演じる予定でした。

 

 六人の侍が山深い里へたどり着きますが,村人(農民)たちは,侍たちを怖がって家から出てきません。

 このとき,農民たちが家から出てくるエピソードがうまくできなくて,「菊千代」という破天荒なキャラクターが生まれました。

 菊千代が,危険を知らせる拍子木を打ち鳴らします。

 すると,野武士が襲ってきたと震え上がった農民たちが,家から慌てて出てきて,侍たちに助けを求める,というシーンです。

 

 この菊千代の登場で,脚本は初めから全面的に書き直されたそうです。

 

 そして,三船敏郎はこの菊千代を演じることになったのです。

 

 日本映画で好きな作品を2つあげるとしたら,迷うことなく「七人の侍」と「太陽を盗んだ男」をあげます。