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Mattoは狂人という意味のイタリア語。
「Mattoの町」は精神病院のことです。
「むかしMattoの町があった」
ということは,今は「Mattoの町」がない,ということです。
現在,イタリアには精神病院がありません。
10月4日(土),奈良県社会福祉総合センターで映画「むかしMattoの町があった」を観てきました。
「むかしMattoの町があった」は,2009年に製作されたイタリアのテレビ映画で,上映時間3時間18分の長編です。
精神科医フランコ・バザーリアが,イタリア精神保健改革に尽くした1961年から1978年までを描いています。
バザーリアは,精神病の患者を病院から開放して,地域で暮らしながら治療すること,すなわち精神病院を解体することを主張しました。
バザーリアは,偏見,政治的圧力,マスコミと闘い,ときに挫折しながらも,精神保健改革の活動を続けました。
そして,1978年,イタリア中のマニコミオ(精神病院)を廃止する新しい精神保健法が成立しました。
その後,20年かかって,イタリアでは精神病院がなくなりました。
不屈の精神で偏見と闘うバザーリアの姿に感銘を受けました。
性的に自由奔放であることから,精神病院に入院させられた女性マルゲリータ,15年間鎖につながれたままの男性ボリスなど,個性的な患者が登場します。
「むかしMattoの町があった」を観ていると,精神病の患者が危険な狂人ではなく,過去に深い心の傷を受けた人々であることがわかります。
バザーリアの活動については,大熊一夫著「精神病院を捨てたイタリア,捨てない日本」(岩波書店)にわかりやすく書かれています。
映画「むかしMattoの町があった」の後半で,ボリスがバザーリアとつぎのような会話をするシーンがあります。
ボリス:先生よ,本当のことを言ってくれ
苦悩が人をMattoにするのか
Mattoであることが苦悩を感じさせるのか
バザーリア:それは,わからないよ
僕にも,ほんとに,わからないんだよ
精神病院への入院が「治療」ではなくて「収容」であるという事実は,当時のイタリアも現在の日本も同じです。
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