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名作と呼ばれる映画には,まったくスキのない完璧な名作と欠点はあるがたまらなくすてきな名作がある。
俳優,物語,脚本,撮影,音楽など,なにもかも素晴らしい,という完璧な名作がある。
たとえば「カサブランカ」「七人の侍」「太陽を盗んだ男」etc.
これに対して,欠点はあるがたまらなくすてきな名作というのもある。
たとえば,「ある日どこかで」「転校生」「時をかける少女」「さびしんぼう」etc.
映画「ある日どこかで」の主人公リチャードは70年前の世界にタイムスリップするのだが,そのタイムスリップの方法が,ちょっと,ちょっと,ねぇ,という感じ。
えっ,そんな方法でいいの?
いいのよ。
だって,タイムスリップしなきゃ話しが始まらないんだもん。
「転校生」「時をかける少女」「さびしんぼう」は大林宣彦が監督した尾道三部作。
いわゆる“胸キュン”ものである。
大林宣彦独特のスキがあって,それが鼻につくという人もいるだろう。
しかし,三つとも欠点を補ってあまりある魅力にあふれた映画である。
映画「さびしんぼう」は高校生のヒロキのところに,高校時代の母が演じた「さびしんぼう」が現れるというストーリー。
ヒロキが想いを寄せる百合子との三角関係が展開するのだが・・・
入江若葉演じるPTA会長のオーバーな演技とか,岸部一徳のクレージーなキャラクターとか,目に余るところはある。
しかし,富田靖子が「さびしんぼう」と百合子の二役(じつは四役)を見事に演じて素晴らしい。
雨の西光寺の階段のシーンは名シーンである。ううっ。
私は,「さびしんぼう」を東宝の関西支社の試写室で観た。
「支社」の「試写室」,なんてね・・・
映画を映画会社の試写室で観たのは,後にも先にも「さびしんぼう」だけである。
その後,「さびしんぼう」はビデオやDVDで何回も観た。
「さびしんぼう」は1985年4月13日に公開されたので,30年になる。
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