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4月14日,福井地方裁判所が,関西電力株式会社の高浜原子力発電所(右の写真)の3号炉と4号炉の運転を差し止める仮処分を決定した。
4月23日,鹿児島地方裁判所が,九州電力株式会社の川内原子力発電所の1号炉と2号炉の運転を差し止める仮処分申立を却下した。
福井地裁の裁判官樋口英明さんの判断を高く評価したい。
鹿児島地裁の裁判官前田郁勝さんは判断を誤った。
これまで,原発訴訟で原告(住民)側が勝ったのは3件しかない。
2003年1月27日 名古屋高等裁判所金沢支部(もんじゅ)
2006年3月24日 金沢地方裁判所(志賀原発)
2014年5月21日 金沢地方裁判所(大飯原発)
今回の福井地裁が4件目である。
しかし,もんじゅと志賀原発の裁判は,上訴審で覆されて敗れている。
大飯原発の裁判は,関西電力が控訴して,現在,名古屋高等裁判所金沢支部で係属中である。
今回の高浜原発の差し止めは「仮の処分」なので,これから起こされるであろう本訴(本番の訴訟)が問題である。
というのも,過去に確定した裁判は,すべて原告(住民)側が敗訴している。
つまり,これまで裁判所は,国と電力会社が進める原子力発電を追認するという形で,原子力を推進する一翼を担ってきたのである。
また,今回の福井地裁の決定は,地震動に対する判断が主な論点である。
この地震動に対する樋口さんの判断は正しい。
確かに,福島第1原子力発電所の事故は,津波ではなく地震が原因で起こった。
しかし,スリーマイル原発2号炉の事故もチェルノブイリ4号炉の事故も地震とは関係ない。
原発事故は,地震で起こることもあるし,地震とは関係なく起こることもある。
つまり,原子力発電所は,地震がなくても危険であり,地震が起こるとより危険なのである。
最近,40年を経過した原子炉を廃炉にする動きがある。
ここで,注意しなければいけないのは「40年経ったから原子炉が危険というわけではない」「最新型のまっさらな原子炉であっても危険である」ということである。
事故を起こしたチェルノブイリ4号炉は稼働して1年余り,スリーマイル2号炉は稼働して3か月しかたっていない最新鋭の原子炉であった。
原子力発電所は稼働した年数に関係なく事故を起こす。
原子力発電所は,ウランを燃やすので存在そのものが危険なのである。
原子力発電を推進してきた国と電力会社は,原発事故は1万年に1回の割合でしか起こらない,と豪語してきた。
しかし,現実に事故は起きた。
1979年3月28日 スリーマイル2号炉事故
1986年4月26日 チェルノブイリ4号炉事故
2011年3月11日 福島第一1~4号炉事故
原子炉の炉心が溶け落ちるという大事故が,わずか32年の間に3回も起きている。
放射性物質セシウム137の半減期は約30年である。
チェルノブイリ原発4号炉が爆発して29年になる。
1986年4月26日にチェルノブイリ原発4号炉から全世界にばらまかれたセシウム137は,現在もまだ半分以上残っている(下の写真は現在のチェルノブイリ原発)。
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