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夕食を食べていると電話が鳴った。
電話に出ると,女性の声で,「○○高校の××ですけど,奥さんいらっしゃいますか?」という。
てっきりPTAの連絡と思って妻に替わった。
妻が聞いた連絡事項は,「あした午前8時に教室に集合」という内容だった。
つまり,こういう事情である。
高校の文化祭で出店をやる。
その運営の中心的な役割(いわゆる世話役)を担っている生徒が何人かいる。
彼らは,翌日の文化祭当日,集合時間は午前8時,集合場所は教室と決めた。
8時集合というのは,通常より30分ほど早い。
スマートフォンを持っている生徒(これが大半)には「クラスのLINE」(こういうのがある)で情報を伝達した。
しかし,スマートフォンを持っていない生徒(これは少数)には直接電話して伝えなければいけない。
うちの息子はスマートフォンを持っていない(正確には,持たせていない)。
運営の中心的な役割を担っている生徒のうちの一人(女の子)がうちの息子に明日の集合時間と集合場所を伝えることになった。
彼女は,直接電話するのが恥ずかしい(おそらく)ので,お母さんに頼んだ。
頼まれたお母さんは,うちに電話して,息子ではなく母親を呼び出してもらって,必要な情報を伝えた。
電話が終わってから,妻が息子に「あした,8時に教室に集合やて」と伝えた。
ごくろうさまでした。
何が「ごくろうさま」かというと,娘⇒母⇒母⇒息子という伝言が,である。
自分自身の高校時代を思い出してみる。
およそ40年前である(T_T)
もちろん携帯電話などない。
一家に一台の固定電話である。
異性に電話すること自体が気恥ずかしい年齢である。
まして,電話をかければ,本人ではなく彼女の父親若しくは母親が電話に出る可能性が高い。
そうすると,まず,自分が何者であるかを相手に失礼がないように名乗らねばならない。
そのうえで,女生徒本人に替わってもらう必要がある。
そして,女生徒に必要な要件を伝えなければいけない。
それでも,1970年代の高校生は,ドキドキしながら電話をかけた。
コミュニケーションには3つの段階がある。
①発信(もしもし,とか,あの~つかぬことをお聞きしますが,とか言って相手とつながる段階)
②伝達(自分の言いたいことを伝える)
③理解(相手の言っていることを理解する)
②と③はお互いに繰り返されることになる。
いまは,LINE,Facebook,Twitterなどなどさまざまなソーシャルネットワークサービス(SNS)が発達して,コミュニケーションがしやすくなっているかに見える。
たしかに,上記の②と③はSNSでたいへん便利になった。
①についてもSNSで一見容易になったように見える。
しかし,人間同士の接触というものを個別具体的(身体的といってもよい)に考えると,SNSが発達したためにこの相手方とつながる能力は劣化しているのではないか,と思う。
LINEにアクセスすれば簡単に複数の人間と情報のやりとりができる。
しかし,生身の人間と1対1で言葉を交わすのが苦手になっていないか。
SNSは人間のコミュニケーション能力を劣化させているのではないだろうか。
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