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2016年9月24日、講演会「法を変え、社会を変えるーイタリア精神保健55年の蓄積に学ぶー」を聴きに大阪弁護士会館へ行った。
講演するのは、イタリアから来られたマリア・グラツィア・ジャンニケッダさん。
彼女は、フランカ&フランコ・バザーリア財団の理事長で、去年までサッサリ大学の教授(政治現象の社会学)をしていた。
マリアさんの講演は、予定では70分だったが、100分を超えた。
彼女が時間を間違えていたのだが、せっかくマリアさんの話を聴きに行ったのだから、1時間10分という設定は短すぎる(通訳が入るので、実際に彼女が話すのは半分くらい)。
マリアさんが、時間を間違えてくれたおかげで、たっぷりと貴重な話が聴けた。
イタリアには精神病院がない。
精神病院はイタリア語でマニコミオ(Manicomio)という。
イタリアでは私立の精神病院が少しあるが、大半が公立(県立)であった。
フランコ・バザーリア(1924~1980)は精神科の医師で、トリエステにあるサンジョバンニ病院の院長であった。
バザーリアは、精神病院が治療施設ではなく拘禁施設であることから、精神病院をなくして、地域で精神保健サービスを提供して、コミニュティの中で患者を治療すること主張して活動した。
マリアさんは、この活動をバザーリアとともに推し進めた人である。
この活動は「社会をマニコミオから解放する」ことが目的だったという。
とにかく、マリアさんの活動は能動的だ。
反対派の集会にも自ら出向いていって、自分たちの考えを話して議論する。
行政機関に現状を変えるように働きかけるのではなく、できることを自分たちで推し進めていく姿勢が鮮明である。
1978年、バザーリアの活動によって、新しい精神保健法(180号法)が成立する。
1980年にバザーリアは亡くなるが、マリアさんらが活動を続け、1990年にイタリアの公立のマニコミオは全て閉鎖された。
「むかしMattoの町があった」という映画がある。
『Mattoの町』とは、精神病院のことだ。
バザーリアを描いた映画である。
この映画については、2014年10月9日のブログ(No.89)に書いた。
バザーリアは、精神病の患者を人間として尊重し、拘禁ではなく治療が必要だと説いた。
バザーリア曰く、「とにかく患者の話を聴け」。
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