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政治的無関心というのは「政策決定に自分たちの思いがほとんど反映されていないけれど、怒っても始まらない」というなげやりな気分のことです。それが前段は同じでも「ここまでひどいとさすがに一言言わざるを得ない」という怒りに変わると「政治的関心」と呼ばれる。
2017年9月13日の内田樹さんのテクスト「若者の政治参加についてのアンケートにお答えした」を紹介する。
どおぞ。
〈質問2〉
現代の、10代~20代の若者は政治への関心が高いと思いますか。
可能であれば、理由も教えて頂けると有難いです。
政治への関心というのは(とくに若者たちの政治への関心は)よくわからない理由で突発的に高まったり冷めたりするものです。それはいつの時代でも変わりません(60年代終わりから70年にかけての僕が若者だった時代も、その前の60年安保の頃もそうでした)。
自分たちの個人的な意見が政策決定に反映されないと虚無的になり、政治に対して無関心になりますが、個人的な思いと現実政治があまりに乖離すると、それまで虚無的な気分がいきなり怒りに変わるというようなことがあります。
政治的無関心というのは「政策決定に自分たちの思いがほとんど反映されていないけれど、怒っても始まらない」というなげやりな気分のことです。それが前段は同じでも「ここまでひどいとさすがに一言言わざるを得ない」という怒りに変わると「政治的関心」と呼ばれる。
政治的な関心・無関心は世代の属性ではなくて、歴史的条件の関数です。そして、無関心が関心に変わり、関心が無関心に変わるその化学変化のプロセスはあまりにデリケートなので、なかなか予測できません。
〈質問3〉
国民の政治参加の方法は、投票やデモ以外では、どのような方法があると思いますか。
一番大切なのは政治について考え、個人的な意見を練り上げ、機会をとらえてそれを公表することだと僕は思います。
政治についての個人の思いなんかに現実変成力はないと思っている人が多いと思いますけれど、それは違います。政治過程についての本質的な洞察は、たとえ個人の見解であっても、つよい浸透力があり、政治についてのものの見方を集団的に変えてしまうことがあります。
〈質問4〉
SNSは活発な政治討論の場になりうると思いますか。
どうでしょう。顔が見えない場所での議論はどういうことが主題でも、極端になりがちです(どんなことを言っても胸倉をつかまれて・・・というリスクがありませんからね)。
SNSは政治的意見を二極化する(それはそれで話がわかりやすくはなるのですが)上では有用ですが、集団的な合意形成の場としてはあまり(ほとんど)役に立たないと思います。
合意形成の訓練をするためには、どうしても顔と顔を向き合わせて対話する場が必要だろうと思います。
以上です。お役に立てたらいいんですけど。」
答えのない問題の解決策を探求するという課題の設定はとてもよいと思う。
ちゃんとした先生はどこの学校にもいるし、ちゃんとした先生がいればちゃんとした生徒がいる。
当たり前のことだけれど。