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1983年9月1日、薬師丸ひろ子と松田優作の「探偵物語」を観るために映画館に行った。
そのとき併映されていたのが「時をかける少女」だった。
初めて観た大林宣彦の作品であった。
原田知世のアイドル映画だという先入観と高柳良一の演技の拙さのために印象に残らなかった。
松任谷由実が作詞・作曲した主題歌は記憶に残ったが。
最初の印象は薄かったが、ビデオやDVDで繰り返し観るうちに、「あざとさ」に慣れてきて、気にならなくなり、いいところだけが心に残る、という不思議な作品であった(「さびしんぼう」にも同じような傾向がある)。
そういえば、「時をかける少女」はスキー合宿のシーンで始まるが、やはりモノクロでしたな。
原作は筒井康隆、音楽は松任谷正隆。
松任谷正隆の音楽がいい。
冒頭の松明を持った生徒が列を作って滑り降りるシーンにテーマ音楽のフレーズが重なって、いい感じだった。
クレジットタイトルで、竹原の屋根瓦の連なりを縫いながら流れるテーマ曲も哀愁を帯びて美しかった。
「時をかける少女」は尾道だけでなく、竹原で多くのシーンが撮影されている。
クレジットタイトルの背景は竹原の屋根瓦の連なりである。
屋根瓦が落ちてくるお堂「胡堂」、芳山和子と深町一夫が歩く「西方寺」、堀川吾郎の実家「ほり川醸造所」と見所は多い。
大林宣彦が当時15才だった原田知世の輝きをフィルムに焼き付けようとしたことは明かである。
弓道の胴衣を着た原田知世が凜々しい。
ラストシーンで走ってきた原田知世がにっこりと微笑むのだが、このときの衣装がいい。
ピンクのブラウス、襞スカート、オレンジのカーディガン、素足に下駄。
まいったな。
芳山和子は、土曜日の実験室で「時をかける」能力を得て、最後に、土曜日の実験室で「時をかける」能力と記憶(深町一夫との思い出)を失う。
最後の土曜日の実験室での芳山和子のセリフが切ない。
「わたし、わからない。この気持ちは、いったい何?胸が苦しいわ。わからないわ。これは、愛なの?これは、愛するってこと?」
「だって、もう、時間がないわ。・・・どうして時間は過ぎていくの?」
そして、愛する深町一夫の指で頬に煤を塗られながら、芳山和子は「ありがとう。さようなら。忘れない」と言いながら、記憶を失っていく。
このシーンは、いいシーンだ。
「ありがとう。さようなら。忘れない」
切ない。
「転校生」が衝撃的な別れのシーンで終わるのに対して、「時をかける少女」は、芳山和子と深町一夫の再会を予言して終わる。
いやあ~「時をかける少女」はいい映画ですよ。