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8月8日のマラソン ☆ あさもりのりひこ No.1039

8月8日(日)午前7時、北海道札幌市で男子マラソンが開催された。

2009年から、わが家にはテレビがない。

スマートフォンでレースを観た。

 

いやぁ~、エリウド・キプチョゲの走りは凄かったねぇ。

体幹が安定していて、身体の軸がぶれない。

1㎞3分のペースで走っても、頭も肩も、上下に動かないし、左右にも動かない。

上半身が発達してがっしりしている。

上半身をよく鍛えていることがわかる。

滑らかな膝の切り替え、地面を蹴った後の踵の高さ、滑るように走り抜けていった。

30㎞から35㎞までの5㎞は14分28秒。

なんと1㎞2分54秒のペースである!

35㎞から40㎞までの5㎞は14分56秒。

1㎞2分59秒のペースだ。

エリウド・キプチョゲ、圧巻の走りでした。

 

そして、大迫傑ですよ。

大迫は自分のキャパシティを自覚して、許容される範囲内で最高の走りをする。

この日も、大迫は30㎞地点まで、第1集団に付いていった。

30㎞を過ぎて、キプチョゲが速度を上げて集団を抜け出した。

大迫は、このとき、キプチョゲの後ろにぴたりと付くことをしなかった。

やろうと思えばできたと思う。

しかし、ここで力を使い果たしたら、35㎞を過ぎたあたりで、速度が落ちてズルズルと後退して惨敗していただろう。

集団がばらけて、大迫は8番目を走っていたが、2人抜いて、6位でゴールした。

ゴール後のインタビューで、大迫は、追いたかったが15秒以上に上がらなかった、と答えていた。

ペースが1㎞3分15秒以上に上げられなかった、ということだ。

大迫は、持てる力を十分に出して、許容範囲内で最も短い時間で42.195㎞を走ったと思う。

 

大迫は、もう競技選手としてマラソンを走らない。

大迫が現役を続けたとしたら、あと5、6年は活躍できるだろうし、日本記録を更新することもできるだろう(現在、大迫は30才、キプチョゲは36才である)。

しかし、あと5、6年現役を続けても、大迫は、世界記録を更新することはできないだろうし、世界のトップランナーと互角に戦うこともできないだろう。

大迫は、厳しい練習を積み重ねて、何もかも犠牲にして、マラソンに打ち込んできたからこそ、自らの限界を知っているのだと思う。

 

大迫は、マラソンで世界と互角に戦えるランナーを育てることに重点をおいて活動している。

だから、小学生や中学生を対象としたイベントを積極的に催している。

現在、男女を通じて、マラソンではケニアが最強である。

大迫は、若いランナーを育てるプロジェクトをケニアで進めるようである。

 

駅伝や実業団だけでは世界に通用しない。

「1秒を削りだせ!」「鬼メニュー」ではダメなんですよ。

マイクを持った監督が、自動車に乗って、走る選手の後方から怒鳴り散らしてもダメなんですよ。

高校駅伝でも箱根駅伝でも、ケニアやエチオピアの留学生が走る区間では、日本人のランナーが勝てないことを当然の前提として受け入れている節がある。

負けることが当たり前では、世界で勝てない。

高校を卒業し、大学を卒業したら、同じマラソンをケニアやエチオピアのランナーと走ることになるんだから。

駅伝や実業団だけで、島国の内側だけを見てきた30年間の結果が、男子マラソンの日本記録と世界記録の3分の差である(女子は5分の差)。

 

大迫は、世界で戦えるランナーを育てようとしている。

 

将来、世界と互角に戦えるランナーは、現在の小学生・中学生の中にいるのかもしれない。